ディーラー整備士から転職した
東急バスの現職整備士にインタビュー

整備の違いややりがいについて伺いました
入社10年目・中途採用 整備の専門学校を卒業後、ディーラーに入社。整備士を8年、社内研修のため営業職を2年経験した氏家さん。ノルマや緊急対応など、ディーラー時代は多くの苦労を経験されました。残業も多くプライベートの時間が持てず、将来を考えた末に転職を決意。友人の勧めもあり東急バスに入社されました。
ディーラーを辞めても『整備』の仕事を続けようと思った理由
整備の専門学校を経て新卒で自動車販売会社に入社した氏家さん。突発的な作業やノルマに追われ、じっくりと整備に向き合えていなかったといいます。また勤めていた会社の方針で研修を兼ねて営業職へ異動することになり、整備が好きで入社したのに数字に追われる毎日で、休日でもお客様から携帯に電話がかかってくるため家族と出かけていてもゆっくり過ごせなかったそうです。しまいには、あれほど好きだった車が趣味として楽しめなくなり、洗車をする気力さえ起きない。「もう車に関わる仕事はしたくない」と思うようになってしまったと振り返ります。

整備すらも楽しめない、将来を考えて転職を決意しました
以前勤めていたディーラーでは、整備士として8年間働きましたが当時の働く環境はきつかったです。工場のシャッターが閉まるのが夜の9時や10時というのは当たり前。そこから自分の片付けや事務処理が始まるので、家に帰れる時間が全く読めず日付が変わることも珍しくありませんでした。「将来を考えたときに続けられるか?」と不安になったのが、転職を考えたきっかけです。
Q.整備の仕事を続けるのがつらく感じている中
それでも整備士を続けようと思った理由は何ですか?
A.せっかく取得した国家資格を活かせたらいいなと
当初は、全く別の業界に行こうと思っていました。そんな時、学校時代の友人と話す機会があって「うちは人間関係もいいし、働きやすいよ」と声をかけてくれたんです。前の職場での経験から「整備工場=ピリピリした戦場」というイメージを持っていました。でも、友人の話を聞いて「ここなら自分もまた整備ができるかもしれない」と少しずつ心が動いていきました。また、当時の東急バスは高卒採用や未経験採用を広げていた時期でもあり、中途入社の私でも受け入れてもらいやすい雰囲気を感じたことも背中を押してくれました。
営業への異動と深夜残業で疲弊し、車への熱意を失いかけた氏家さん。「将来を考えると転職したいかも」これは氏家さんだけでなく、同じく東急バスで整備士として働く元ディーラー整備士の多くがそのような気持ちの変化を感じていたそう。
働き方の変化がもたらしたバス整備士としての「やりがい」
ディーラー時代とは整備の仕方や基本的な姿勢が違うそうで、氏家さんもその点に驚いたそう。ディーラー勤務の時間に追われていたときと比較して、バス整備士はどんな点が違うのか、またどんな点にやりがいを感じるのかを聞きました。

計画点検で生まれる心のゆとり
実際に入社してみて一番驚いたのは、仕事の進め方がディーラーとは全く違うことです。ディーラーでは「故障した車が突然入庫してくる」のが基本で、お客様がお待ちになっている間に修理を終えなければならず、「1分が惜しい」と常に時間に追われていました。一方、バス会社では「車検」や「3ヶ月点検」といった計画的な整備がメインです。「今日はこのバスのここを点検する」とあらかじめ決まっているので、時間に追われて焦るようなことがディーラー時代と比較して少ないと思います。
Q.ディーラー時代の整備の仕方とバス整備の仕方
共通点と異なる点はどんなところですか?
A.知識や工具は同じ。チームで整備するという点は違います
ディーラー時代に培った整備士としての基本的な知識や工具の使い方は、バス整備でもそのまま活かせています。ただ、扱う部品のサイズと重さは桁違いです。例えばタイヤ交換ひとつとっても、乗用車なら一人で持ち上げられますが、バスのタイヤは一人では危険なのでペアになって対応します。前の職場では個人の効率が重視され、隣の人が忙しくても自分の仕事で手一杯でしたが、東急バスでは「これ重いから手伝って」と自然に声を掛け合える環境があります。一人で無理をせず、みんなで安全にバスを送り出す。整備の基礎スキルをベースに、仲間と協力して作業を進めるスタイルに変わったことで、精神的な負担もかなり軽減されました。
Q.ディーラー整備士時代と比較して心のゆとりができ
「以前とは変わったな」と思う点を教えてください
A.帰れる時間が読めるので家族との時間が増えました
計画された点検箇所と日時に則って日々の作業スケジュールが明確になっているので、帰宅時間が読めるようになったことです。東急バスでは日勤の日は基本的に夕方5時半には帰宅できます。もちろん突発的な対応が必要な場合もありますが、残業は少なくシフト表通りに勤務できるため先々の予定が立てられるようになりました。そのおかげで「子供と一緒にお風呂に入る」「家族揃って夕飯を食べる」といった時間を過ごせるのは大きな変化だなと思います。
ディーラー時代と比較して働き方の変化が大きいと語る氏家さん。では、バス整備士の具体的な仕事内容はどんなものがあるのか。ディーラー整備士時代と比較してどんな点が異なるのか、東急バスの現職整備士のみなさんのアンケートとともに紹介。
自社車両だからこそ追求できる「こだわり」と「誇り」
ディーラーの整備では、どんな車種が持ち込まれるかわからないため、臨機応変さが求められていたそう。バス整備士の場合は、各社、自社の車両を整備するので車種はそこまで多くありません。大型車両であるバスをどのように点検するのか、氏家さんに聞いてみました。

車種が多くない分、整備の質は高められます
ディーラーの整備では効率重視で「部品を丸ごと交換(ポン付け)」することが多いのですが、東急バスでは時間をかけてエンジンをオーバーホール(すべて取り外す)するなど、中の仕組みまで深く知る機会が多くあります。そのため時間に追われすぎず「慎重にじっくりと間違いのない仕事を」という方針なので、自分が納得いくまで技術を追求できる面白さがあります。「壊れる前に防ぐ」がバス整備の基本。チームで作業するので互いに相談しながら整備の質の向上を目指しています。
Q.チームワークとコミュニケーションが必要な環境
整備工場はどんな雰囲気ですか?
A.冗談も言い合う、風通しのよい環境だと思います
私のようなディーラー出身者や異業種からの転職者も多く活躍しています。「寡黙な職人気質の人ばかりかな」と思われがちですが、普段は冗談を言い合ったり、プライベートの話をしたりと風通しが良い職場です。作業中は真剣ですが、休憩時間はしっかりと休息、そしてコミュニケーションを取りチームワークで1台のバスを仕上げていく一体感があります。
ディーラー整備士時代に培ったスキルはどんなものが活かせるのか。ディーラー時代の接客やヒアリングスキルなど、活かせているものがたくさんあるそう。具体的にどんなものがあげられるのかを見ていきましょう。
これから転職を考えている人へメッセージ

経験者も未経験者も、安心して飛び込んでほしい
ディーラーや他の整備工場で、時間に追われて疲れてしまったりしている方がいたら、ぜひバス整備の世界を知ってほしいと思います。私のように「一度は車が嫌いになった」人間でも、ここでは整備の楽しさを再発見することができました。お客様の命を預かる責任重大な仕事ですが、一つひとつの作業を丁寧にやり遂げた時の達成感を味わえます。整備士としての経験がある方はもちろん、未経験の方でも周りがしっかりサポートするので大丈夫です。プライベートも大切にしながら働ける環境がここにはあります。会えるのを楽しみにしています。
ノルマや時間に追われるディーラー時代と比較して、整備の技術向上にじっくりと時間をかけられるようになり自分の時間も増えたそう。では、ディーラー時代とは異なりノルマがない分、バス整備士のキャリアパスはどのような形になるのでしょうか。
ディーラー整備士時代のきつい環境の中、働き方や将来を考えて東急バスの整備士に転職された氏家さん。整備にしっかりと時間がかけられ、かつプライベートの時間も大切にできるようになったことに「人間らしい生活ができるようになった」と仰っていました。整備の仕事は人々の交通手段を支え、安全に目的地まで送り届けるための縁の下の力持ち的な役割です。だからこそ、プレッシャーもあり体力も使う。それでも東急バスの整備の仕事は、一日の工程が決まっているため着実な整備を追求することができ、先々の予定も立てやすい。企業として働く人たちをしっかりと支えていることがわかりました。

東京・神奈川の東急線沿線を中心に地域に密着した路線バスを運行。東急グループの一員として地元住民の足となる路線バスのほか、空港連絡バスや高速バスなども展開しています。またEVバス(電気自動車)FCバス(燃料電池車)など環境に優しい次世代のバスなどを投入。その車両を整備する整備士は「未来のモビリティ技術者」として成長し続ける機会が与えられています。
