未経験でもバス整備士になれる!
仕事内容についてアンケートをもとに解説
未経験・資格なしでもバス整備士になれるのか?
現在のバス業界では、「資格や経験がない方」を対象としたポテンシャル採用を強化しています。ここでは、なぜ未経験者が歓迎されるのかという背景と、未経験・資格なしの人材が入社後にどのようなキャリアパスを踏むのかを解説します。
未経験からスタートした
東急バス整備士に聞いた!
「未経験・資格なし」という求人を見ても、本当に自分がやっていけるのか不安に思う方もいるかもしれません。
そこで、実際に活躍している先輩整備士たちにアンケートを実施しました。前職や入社のきっかけを見てみましょう。
【東急バス現職整備士│アンケート回答】
・調査対象(20〜40代のディーラー整備士からバス整備士になった⼈8名)
・調査期間(例:2025年11⽉15⽇〜12⽉14⽇)
Q. 前職ではどんな仕事をしていましたか?
東急バスでは、整備とは全く関係のない職種からスタートした先輩も多数在籍しています。
- 「営業」「接客業」
- 「乗用車の洗車、清掃」
Q. 「バス整備士」の仕事を選んだ理由は?
- 「国家資格を取得して、手に職をつけたいから」
- 「整備に興味があったから」
- 「学校の先生の紹介/就職難だったので紹介してもらった」
アンケート結果からも分かる通り、前職が営業や接客業といった「完全な異業種」からスタートした先輩も少なくありません。「働きながら資格を取りたい」「安定した環境で働きたい」という意欲があれば、過去の経歴に関わらずプロの整備士を目指せる環境が整っています。
各企業ポテンシャル採用が活発
現在、バス業界を含む自動車整備業界全体で、若手の整備士不足が深刻な課題となっています。これは「2024年問題」が背景にあり、企業は経験者を採用することの難しさを感じています。そのため、多くのバス会社では「資格を持っている即戦力」を待つのではなく、やる気のある人材を採用し、自社で一人前の整備士に育てるという方針へ大きく舵を切っています。普通自動車免許さえあれば応募可能とする企業があったり、入社後に働きながら資格取得を目指すコースが用意されていることも少なくありません。未経験であっても、機械いじりが好きであればゼロから専門技術を身につけられるチャンスと捉えてもよいと思います。
バス整備士の仕事内容【未経験・資格なしでできること】
資格がなくても可能な業務
(整備補助)
国家資格である自動車整備士の資格を持っていない場合でも、整備工場で行える業務は多岐にわたります。
具体的には、タイヤの空気圧チェックや溝の深さの確認、エンジンオイルやフィルターの交換、冷却水の補充といった消耗品のメンテナンス作業が中心となります。また、車検や定期点検の際に、資格を持つ先輩整備士の指示のもとで工具を準備したり、取り外した部品を洗浄したりする「整備補助」も大切な仕事です。
さらに、バスならではの業務として車体(ボディ)の清掃や、客席のシート補修、運賃箱などの車内機器のメンテナンスを任されることもあります。ただし、ブレーキパッドの交換など、重要保安部品を取り外す「分解整備」に関しては、無資格者が単独で行うことは法律で禁止されているため、必ず指導員の管理下で行うか資格取得後まで担当しないという明確な線引きがあります。
| 資格なしでできる業務 | 車両の清掃・洗車・ 下回り洗浄 |
消耗品交換補助 | タイヤ交換・ 空気圧チェックの補助 |
|---|---|---|---|
| 資格が必要な業務 | エンジンやブレーキの 分解整備 |
法定点検の実施 | 故障診断 トラブルシューティング |
働きながら目指す
「自動車整備士」への道
資格や経験がなくても、入社後に働きながら「自動車整備士」の国家資格取得を目指せる仕組みが、多くのバス会社には整っています。金銭的な負担や勉強時間の確保といった不安を解消し、着実にキャリアアップできる企業のバックアップ体制と、一人前の整備士になるまでの道のりをご紹介します。
手厚い「資格取得支援」と
2級整備士までのロードマップ
未経験からスタートする場合、まずは「3級自動車整備士」、次に業界標準となる「2級自動車整備士」を目指します。道のりは長いですが、企業の「資格取得支援制度」がその挑戦を強力にサポートします。
- 費用の負担: 受験料、登録料、技術講習の費用を会社が負担。
- 時間の確保: 講習時間を「業務時間」として扱い、給与をもらいながら学習可能。
【取得までの流れ】
- 入社~1年: 整備補助として働き、3級の受験資格(実務経験1年以上)を満たす。
- 3級取得後: さらに3年以上の実務経験を積み、2級を目指す。
- 2級取得: 最短でトータル4年程度で、整備の幅が広がる2級整備士へ。
各企業、研修サポートや受講料の支援などを用意しているところもあるので、面接を受ける前に確認してみるのもよいと思います。
未経験者がバス会社を選ぶ際のチェックしておくとよい点
会社選びで特に重視すべきなのは、入社後の「教育体制」と「資格取得支援」です。これらが形式的なものか、実効性のあるものかによってキャリアパスは変わってくると思います。
求人票には書かれない具体的な
「教育」と「支援」を確認
まず教育体制については、「背中を見て覚えろ」という職人気質の現場か、体系的なプログラムがあるかを確認することが重要です。メンター制度の有無や、整備マニュアル・教育施設の充実度は成長スピードに直結してくるので、説明会などで人事の方に聞くのがよいと思います。
また、資格取得支援については「費用負担の範囲」と「講習時間の扱い」がポイントです。費用は全額会社負担か、講習は業務時間(出勤扱い)として認められるか。
バス整備士の「きつい」ところ・「良い」ところ
バス整備士を目指す上で避けて通れないのが、体力的な負担と責任の重さです。重い部品を扱う重労働や、夏場の工場内の暑さ、そして「乗客の命を預かる」というプレッシャーは、確かに楽なものではありません。
「体力的な厳しさ」の一方で手に入る、圧倒的な「安定性」
厳しさの反面、バス整備士には公共交通機関(インフラ)を支える仕事ならではの強みがあります。景気に左右されにくい「雇用の安定性」や、歴史ある企業が多いことによる「充実した福利厚生」は、将来への大きな安心材料となるでしょう。
一生モノの技術を身につけ、地域社会に貢献するやりがいは、この仕事だからこそ味わえるものです。以下の記事では、現場の具体的な「きつさ」の事例と、未経験からチャレンジする価値についてさらに深掘りしています。
新卒(高卒・大卒)でバス整備士を目指す場合
ここまで解説した内容は中途採用にも当てはまりますが、高校や大学を卒業してすぐにバス整備士を目指す「新卒採用」には、特有のメリットやルートが存在します。工業科や機械系の学部出身でなくても、多くのバス会社が「普通科」からの応募を歓迎しています。
高卒(普通科)からの挑戦:ゼロからのスタートが標準
高校新卒での採用は、バス整備士への入り口として非常に一般的です。工業高校の機械科出身者だけでなく、普通科出身者の採用枠を設けているバス会社も多数存在します。高卒新卒のメリットは、入社直後から手厚い集団研修を受けられる点です。中途採用がOJT(現場での実地訓練)中心であるのに対し、新卒は数週間から数ヶ月にわたり、社会人マナーと並行して工具の名前や使い方から学ぶ座学・実習期間が設けられるケースが多くあります。「全く知識がない」という状態が前提とされているため、同期と一緒に基礎から焦らず学べる環境は新卒ならではの特権と言えるでしょう。
東急バスの現職整備士で未経験からスタートした方の中には、入社して3年目に資格を取得した人も。東急バスでは、入社後の資格取得を支援しており、働きながら国家資格の取得を目指せる環境が整っていると言えます。大型部品を扱うため体力は必要ですが、設備の進化で負担は軽減されつつあり、労働環境や残業時間の改善に取り組んでいる企業も。また資格取得による昇給や管理職へのキャリアパスも明確で、工具支給や研修制度を確認し責任感をアピールすることも重要です。

東京・神奈川の東急線沿線を中心に地域に密着した路線バスを運行。東急グループの一員として地元住民の足となる路線バスのほか、空港連絡バスや高速バスなども展開しています。またEVバス(電気自動車)FCバス(燃料電池車)など環境に優しい次世代のバスなどを投入。その車両を整備する整備士は「未来のモビリティ技術者」として成長し続ける機会が与えられています。
